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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

 二人の新しい妃たちは既に正式に入宮し、それぞれ殿舎を賜って側室としての待遇を受けている。
 領議政は両親の敵であった。むろん、憎くないはずがない。しかしながら、一介の女官にすぎない自分に何ができるだろう? 
 崔尚宮は幼い彼女にくどいくらいに言い聞かせてきた。
―良いですか、すべて忘れるのです。あの夜、起こった出来事はなかったこととして忘れ去りなさい。余計な復讐心など抱けば、今度こそ、そなたも亡き両親同様、闇から闇へと葬られるのですから。
 ただ一人生き残ったそなたの役目は無謀な仇討ちなどではない、家門の存続です。

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