身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
そのときだけは厳しい上司ではなく、伯母の瞳になって崔尚宮は告げた。
―実家は既に絶えたも同然ではあるが、そなたさえその気になれば、復興はできる。そなたが婿を迎えて家門を立て直せば、亡き両親も少しは浮かばれよう。
遠縁の娘を養女にして国王に侍らせてまで、王の外戚になりたいのか。領議政の果てのない野望は怖ろしくもあり、また、愚かしくも思えた。人の世の栄華を極めたとて、所詮は一時の儚い夢。夏の早朝、蓮の葉の上に宿った露雫のようなものではないか。
またたきするほどの間に、消えてなくなる。なのに、何故、人はそれほどまでに地位や財産に拘り執着するのだろう。父は、その領議政の野心について調べている中に、殺されたのだ。
―実家は既に絶えたも同然ではあるが、そなたさえその気になれば、復興はできる。そなたが婿を迎えて家門を立て直せば、亡き両親も少しは浮かばれよう。
遠縁の娘を養女にして国王に侍らせてまで、王の外戚になりたいのか。領議政の果てのない野望は怖ろしくもあり、また、愚かしくも思えた。人の世の栄華を極めたとて、所詮は一時の儚い夢。夏の早朝、蓮の葉の上に宿った露雫のようなものではないか。
またたきするほどの間に、消えてなくなる。なのに、何故、人はそれほどまでに地位や財産に拘り執着するのだろう。父は、その領議政の野心について調べている中に、殺されたのだ。