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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第2章 第一話 【桜草】 戸惑いと、ときめきと

「フン、どこの令嬢を拐かしたのかは知らないが、両班のお嬢さんをこんな夜遅くまで連れ回して傷物にしちまったら、旦那、このお嬢さんの親父さんに殺されちまうよ」
「忠告、ありがたく肝に銘じておこう。それでは、我らは先を急ぐので、これにて」
 またも魅惑的な微笑を妓生に向ける。
「本当に良い男。惜しいわぁ。旦那~、今度は必ずお一人で来てくださいね。月琴楼の緑月と指名するのを忘れないでねぇ」
 語尾が異常に甘ったるい。
「ああ、その美しきそなたの面が今宵の月のように淋しさで翳らぬ前に是非、訪れよう」

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