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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第20章 第四話 【永遠の少女】 永遠に理解し得ぬ二人  

 何度目かの呼びかけで、大妃は漸く言葉を発した。その内容はともかく、大妃が口を開いたことで、明姫は大いに勇気づけられる。
「やっとお逢い下さり、嬉しうございます」
 何しろ毎日のように大妃殿には挨拶に伺っているのに、大妃が対面を許可したことは一度たりともない。だが、ずっと逢ってくれなかったことには触れず、明姫は明るい声音で言った。
「逢うも逢わぬも、今日はそなたが押しかけて参っただけだ」
 素っ気ない態度に心が早くも折れそうになるが、明姫は大妃の言葉が聞こえなかったかのように笑顔で続けた。
「これからもご挨拶にお伺いしてもよろしいでしょうか」

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