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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第20章 第四話 【永遠の少女】 永遠に理解し得ぬ二人  

「―」
 最早、明姫は何も言えなかった。
「身の程を知るが良かろう。そなたのような賤しい女、息子の嫁とも王族とも認めてはおらぬ」
 大妃は言うだけ言い棄てると、振り向きもせずに命じた。
「疾く去れ、そして先刻も申したように、二度と私の前に現れるな」
 早春の穏やかな陽射しがまだ固い桜の蕾に惜しみなく降り注いでいる。池の水面に光が乱反射して眩しく煌めいていた。
 だが、大妃の最後のひと言を耳にした刹那、明姫の周囲から光り溢れる穏やかな世界は遠ざかっていった。

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