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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第20章 第四話 【永遠の少女】 永遠に理解し得ぬ二人  

 あの運命の出逢いから五十年を経たユンの脳裏に、今、明姫とめぐり逢った日の出来事がつい昨日のことのように鮮やかに甦る。
―済まぬ! 大丈夫か?
―はあ、私はたいしたことはありませんが、あなたの方こそ。
 宮廷の庭園を急いでいた二人は衝突し、派手に転んだ。物語のような美しくも劇的な出逢いではなく、いかにも二人らしい笑える出逢い方だったのだ。
―まだ花のついているものは部屋に持って帰って、水に挿してみるわ。もしかしたら、まだ何日かは眼を愉しませてくれるかもしれないし。
―持って帰って活けるというのか、この花を。

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