身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第21章 第二部【身代わりの王妃】 王の花嫁
王の花嫁
彼は先刻から憮然として端座していた。仮にも一国の王が情けない話だとは思うけれど、腹立たしい想いは変わらない。
彼―李胤(イ・ユン)はこの朝鮮の国を統べる王である。彼にはかつて生涯の想い人と定めた女がいた。蘇明姫(ソ・ミヨンヒ)、一輪の花のように儚げでいながら、気高く凜とした少女を彼は周囲の者たちが呆れるほど寵愛した。
そのことがかえって最愛の想い人を追い込むとは、彼は想像もしなかった。明姫はユンの母である大妃(テービ)にひたすら憎まれ、一度は大妃の陰謀で王妃暗殺未遂の罪人とされたこともあった。彼は泣く泣く明姫を廃妃として都郊外の寺に追放せざるを得なかった。
彼は先刻から憮然として端座していた。仮にも一国の王が情けない話だとは思うけれど、腹立たしい想いは変わらない。
彼―李胤(イ・ユン)はこの朝鮮の国を統べる王である。彼にはかつて生涯の想い人と定めた女がいた。蘇明姫(ソ・ミヨンヒ)、一輪の花のように儚げでいながら、気高く凜とした少女を彼は周囲の者たちが呆れるほど寵愛した。
そのことがかえって最愛の想い人を追い込むとは、彼は想像もしなかった。明姫はユンの母である大妃(テービ)にひたすら憎まれ、一度は大妃の陰謀で王妃暗殺未遂の罪人とされたこともあった。彼は泣く泣く明姫を廃妃として都郊外の寺に追放せざるを得なかった。