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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第21章 第二部【身代わりの王妃】 王の花嫁

 その事実は、明姫の傍近くに仕えていた者たちであれば皆、知っている。明姫は確かにひと月近く早く産気づいたものの、医師の診立てでは特に危険な状態ではなかった。しかも、明姫の腹心だった洪尚宮(サングン)は顔を見たこともない女官が運んできた薬湯を明姫が呑んだのを見ている。
 洪尚宮の眼前で明姫はそれを呑んで、大量の血を吐いて死んだのだ。最早、明姫が毒殺されたのは明白だった。機転のきく洪尚宮はすぐにその若い女官の行方を追ったけれど、明姫がまだ息を引き取る前の時点で、不審な女官は既に殿舎から姿を消していた。

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