身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第21章 第二部【身代わりの王妃】 王の花嫁
一部の特権階級である両班(ヤンバン)よりも民の立場に寄り添ったその政治は、貧しい民たちから絶大な支持を得ていた。〝初代太祖大王の再来〟とまで囁かれる直宗は最早、生きながら伝説と化している。
―国王(チユサン)殿下(チヨナー)がご誕生になったその前夜、それまで晴れ渡っていた空が俄に曇り、強い落雷が落ちた。人々は何か良からぬ事の起こる兆かと恐れおののいていたら、何とひと晩中降り続いた雨が暁方になって漸く止み、夜明けの空を青龍が気持ち良さげに泳ぎながら天目指して翔けていったそうな。
その瞬間に、大妃が直宗を産み落とした―という噂が真しやかに流れていた。
―国王(チユサン)殿下(チヨナー)がご誕生になったその前夜、それまで晴れ渡っていた空が俄に曇り、強い落雷が落ちた。人々は何か良からぬ事の起こる兆かと恐れおののいていたら、何とひと晩中降り続いた雨が暁方になって漸く止み、夜明けの空を青龍が気持ち良さげに泳ぎながら天目指して翔けていったそうな。
その瞬間に、大妃が直宗を産み落とした―という噂が真しやかに流れていた。