身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第21章 第二部【身代わりの王妃】 王の花嫁
―私がお側からいなくなっても、後世にまで語り継がれるような聖君(ソングン)となって下さいませ。
今際の際(いまわのきわ)まで明姫は我が身のことより、ユンを気遣っていた。そのいじらい心根を思えば、明姫を失った心の痛みを表に出すことはできない。
直宗(ユン)はひたすら虚しさと孤独に耐え、王としての責務をまっとうした。既に若い頃から聖君とその英明さを崇められていた王であったが、今や、彼の王としての名声は朝鮮全土にひろまっている。民草を思い、飢饉の年には国庫を開き、窮民の救済に当たり、水害の続いていた地方には率先して治水工事を行う。
今際の際(いまわのきわ)まで明姫は我が身のことより、ユンを気遣っていた。そのいじらい心根を思えば、明姫を失った心の痛みを表に出すことはできない。
直宗(ユン)はひたすら虚しさと孤独に耐え、王としての責務をまっとうした。既に若い頃から聖君とその英明さを崇められていた王であったが、今や、彼の王としての名声は朝鮮全土にひろまっている。民草を思い、飢饉の年には国庫を開き、窮民の救済に当たり、水害の続いていた地方には率先して治水工事を行う。