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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第21章 第二部【身代わりの王妃】 王の花嫁

 そんな中で、ユンが三十二歳になった年、長年連れ添った王妃が亡くなった。まだ、三三歳の若さであった。ユン自身の気持ちをいえば、明姫亡き後、次の王の母となるべきなのは中殿(チュンジョン)―王妃であると思っていた。
 そう思い、幾度か夜、妻の寝所を訪ねたり、妻を閨に招いてみたのだが、その度に王妃からは丁重な辞退の返事が来た。
 亡くなる少し前、見舞いに中宮殿を訪れたユンに対して、王妃は淡く微笑して言った。
―最後まで可愛げのない女と殿下もさぞや愛想を尽かされていることでしょう。されど、殿下、私は殿下をお慕い申し上げているからこそ、大勢の女の一人にはなりたくなかった。年々、強くなる殿下への想いゆえに、私は中殿にあるまじき醜い妬心を抱くようになってしまったのです。

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