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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第21章 第二部【身代わりの王妃】 王の花嫁

―無事も何も、こうして姿を見せたからには、何もなかったに決まっている。
 ユンの冷めた気持ちとは裏腹に、大妃は春花が多少遅れたことなど、意に介してもないらしい。
「おお、待ちかねたぞ。こちらへ」
 大妃が機嫌の良い声を上げた。大妃の声につられるようにユンもまた気のない視線を向けたその先に、若い女が佇んでいた。背は女性だとしてもさほど高くはない。ほっそりとした肢体だが、貧相というわけでもなく、ほどよい肉付きが盛装の上からでも窺えた。
 薄紅色のチョゴリに紅梅色のチマは同色を重ねた効果で、娘の可憐さを更に際立たせている。チマの裾には咲き誇る牡丹の花が描かれ、花には色彩も鮮やかな蝶が刺繍されている。

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