身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第22章 第二部【身代わりの王妃】 稚(おさ)な妻
だから、国王さまは婚儀を挙げた後でさえ、妻となった自分の名すら憶えておいででない。その事実は春花を打ちのめしたが、逆に心のよりどころにもなった。
国王さまにとって、私は形だけの妻。だから、実質的には夫婦になる必要もないのではないかと期待しているのだ。そうすれば、春花がこれからひそかに計画に移そうとしていることもいっそうやりやすくなるというものである。
「春花と申します」
「春花、良き名前だ。春に咲く花のようなそなたには似合っている」
国王は満足げに頷いた。
国王さまにとって、私は形だけの妻。だから、実質的には夫婦になる必要もないのではないかと期待しているのだ。そうすれば、春花がこれからひそかに計画に移そうとしていることもいっそうやりやすくなるというものである。
「春花と申します」
「春花、良き名前だ。春に咲く花のようなそなたには似合っている」
国王は満足げに頷いた。