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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第22章 第二部【身代わりの王妃】 稚(おさ)な妻 

「酌をしてくれ、改めて夫婦の契りを結ぶ誓いの酒だ」
 夫婦の契りというのが具体的に何を意味するのかは判らないまま、それでも、春花はその言葉に潜む響きや、王の眼に浮かぶ熱っぽい光に恐怖を抱かずにはいられなかった。
 王の手が腰にしっかりと回されていて、身動きもできない。
「この場所からでは、お酌はできません」
 消え入りそうな声で言うと、王は笑った。
「それもそうだな」
 やっと解放してくれたので、急いで膝から降り、少し王から距離を置いて座った。
「どうぞ」
 銚子を捧げ持ち差し出された盃を満たすと、王はひと息にすべてを煽る。

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