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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第22章 第二部【身代わりの王妃】 稚(おさ)な妻 

 怒らせてはいけないと思い、顔を上げた。と、強い視線に射貫かれ、春花は恐怖に身体を強ばらせた。
 そういえば、と、改めて思い出す。以前にこの人と初めて対面したときは、桜が咲く頃だった。そのときも、王は自分をこんな風に見つめていた。まるで幼い頃、隠れて難しい本を読みふけっていたのを母に見つかったときのような気持ちだ。
 私、何も悪いことはしていないのに。
 王は最初から春花を睨みつけるような烈しいまなざしで見つめてくるのだ。春花はそれが怖くて堪らない。たとえ誰かの妻になるつもりがないことを抜きにしても、こんな怖い人と一緒にいたくないと思う。

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