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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第22章 第二部【身代わりの王妃】 稚(おさ)な妻 

―いやっ。
 叫びたいのに、今の自分には叫ぶことすら、許されない。涙が溢れてきて、ほろりと白い頬をころがり落ちた。
 それでも、手の動きは止まらない。王は動揺している春花には頓着していないようだ。
 しゅるりと、前結びになった夜着の紐を解かれ、春花は更に焦りを滲ませた声音で告げた。
「お話があります。殿下、お話を聞いて頂きたいのです」
「ん? 何だ」
 初めて王の手が止まり、春花を見た。

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