テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

 かつては見慣れていたはずのこの町の光景に、彼は軽い衝撃と感動を憶えていた。貧しくとも日々を懸命に生きていこうとする人たち、この国は王族や両班と呼ばれるひと握りの特権階級の人々たちではなく、この者たち―大勢の民によって作られている。
 そう心から実感できる一瞬だ。
 私の国の大切な私の民たちだ。ユンは活気に満ちた人々の表情を見る。皆、粗末な着物を身につけているけれど、その表情は存外に明るく屈託がない。
 この大勢の民たちのためにも、自分は良き王であらねばならない。王や両班だけが私利私欲に走ることなく、この国の根幹をなすのがこの大勢の貧しい民たちなのだとけして忘れてはならない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ