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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

「そうですか? それじゃ、ありがたく頂戴しときますね」
 女はいっそう人の好い笑顔で礼を言った。
「また寄って下さいね。今度はもっとおまけしますから」
 女の愛想の良い声を背に、再び歩き始める。
 ユンは紙袋からまだ熱々の揚げパンを取り出し、囓ってみる。ほのかな甘さが口の中に広がり、それは彼に胸狂おしいほどの懐かしさを呼び起こした。
 揚げパンは明姫の大好物だったのだ。そういえば、明姫と昔、町に出たときもこうやって揚げパンを露店で買い求め、二人で食べたものだった。

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