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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

「お嬢さま、あっしが嘘をついてるとお思いなんでしょうけど、これは正真正銘の清国渡りの筆ですぜ」
 店主もムキになったように言い募る。ユンは二人のやりとりを少し離れた場所から興味深く見物していた。
「良いわ。その清国渡りの筆とやらを下さい」
「へい、お幾つご入り用で?」
「そうね、四本頂こうかしら」
「そりゃあ、どうも、ありがとうございます。しかし、そんなにご婦人が筆をお買い求めになるんで?」
 当時、男性はともかく女性はそれほど学問の必要を認められていなかった時代である。両班の子女といえども、必要最低限の教養さえ身につけていれば良いとされていたのだ。

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