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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

 しかし、彼女は気を悪くする様子もなく、笑った。
「良いのよ。気にしないで」
「お嬢―、おっと、いけねぇ」
 男は頭をかき、言い直した。
「奥さまのような美人のかみさんを貰った旦那は果報者だねぇ。うちの息子の嫁にも、こんな嫁さんが来てくれりゃあ、言うことないんだけどね」
 ユンは微笑ましい気持ちで、二人の会話を聞いていた。あれくらいの年頃は普通、筆より簪やノリゲといった装身具を欲しがるだろうに、寄りにも寄って筆を欲しがるとは、やはり風変わりな娘だ。

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