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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

 そういえば、と、ユンは懐かしい想いで記憶を手繰り寄せていた。明姫もまた、そういった装飾品にはまるで興味を示さなかった。
 一風変わっているところまで、この娘は明姫に似ているらしい。だが、明姫は難しい漢籍や書物は見ただけで頭が痛くなるといつも零していた。
 その点は成均館の教師を父に持つ春花と決定的に違うところだ。しかし、それは当然のことであった。春花は春花であって、明姫ではない。幾ら容貌が同一人物としか思えないほど似ていても、根本的にはまったくの別人なのだ。そんな二人がすべて同じはずがない。
 そして、ユンは自分がともすれば春花を明姫に重ね合わせて見ようとしていることに気づき、愕然とした。

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