テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

「中宮殿を訪ねてみたら、そなたは具合が悪いと寝所に引きこもっている。だが、布団の中はもぬけの殻で流石に愕いた」
 その言葉に、春花が一瞬で蒼白になった。
「も、申し訳ございません」
 今にも泣き出しそうに眼を潤ませている顔はなかなか可愛らしく、そそられる。しかし、少女を泣かせる嗜好はユンにはまったくない。
「別に咎めているわけではない。そなたのお陰で、こうして私も実に久しぶりに町に出てみる気になったのだから」
 ユンは明るく言い、春花を見た。
「だが、一人でそなたが町中を徘徊するのは、あまり感心しない。どうしても行きたいときは、伴の者を連れていくか、私に言いなさい」
「はい」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ