テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

 十八年もの月日が流れたとは信じがたいほど、何もかもがあのときと同じに思え、ユンは感慨深く眼に映るものすべてを眺めた。明姫を失ってからというもの、民情視察と称した町へのお忍びも一切止めた。
 本当に彼女がいない月日は彼にとって無味乾燥な意味をなさないものに等しかった。新しい側室を迎えたのも子をなしたのも、それが国王たる自分の義務だと思ったからだ。
 心から欲し抱きたいと願うのは、今も明姫だけだ。だが、その明姫は今はもう遠い手の届かないところにいる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ