テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

 ユンはそっと傍らを歩く春花を見た。こうして見ても、春花は在りし日の想い人にそっくりだ。春花と漢陽の町並みを歩いていると、時がそのまま遡ったような錯覚に囚われてしまう。明姫は死んだのではなく、長い長い旅に出ていて、やっと手許に戻ってきたのではにないかと思いたくなる。
 と、ユンは春花もこちらを見ているのに気づいた。何かに怯えたような瞳で自分を見上げている。ユンの視線に気づいていたのかもしれない。
「顔色が悪い。どうかしたのか?」
 ユンが手を伸ばして頬に触れると、春花が〝いやっ〟と悲鳴を上げた。ついで、ユンの手は強い力で振り払われた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ