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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 そのため、王妃が
―あの妃は我が幼き王子を誑かしている。世子を手なずけて味方にしようとしているのだ。
 とノイローゼ状態になったことあるほどだったとか。
 もちろん、成人した王子ならばともかく、わずか七歳の幼子が妃の許に出入りしたからといって、国王もそれを咎めだてするはずもかった。
 が、王妃の妃に対する風当たりは次第に強くなり、ついに妃が王の何人目かの御子を懐妊したと判るに至って、妃を呼びつけて鞭打つという事態にまで発展した。
 たとえ王妃といえども、国王の御子を宿した側室を鞭打つのは許されることではない。国王は王妃のあまりの嫉妬深さを嫌悪し、その心はますます妻から遠のいた。

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