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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 そんな酷い所業が許されたのも、王妃が時の朝廷で重きをなす左議政ペク・ヨンスの実妹だったからだといわれている。果たして鞭打たれたのが原因かどうかは判らないが、妃はその事件後、ショックで寝込みがちになり、一ヶ月後に流産した。彼女が自ら殿舎の梁に紐をかけて首をつったのは流産後まもなくのことだった―。
 その酷い事件が起こってから、既に十数年を経ている。が、今もなお、この殿舎の梁には首をつった当時の妃の身体がぶら下がっているとか、それを実際に見た者がいるという怪異話が尽きない。
 広大な宮殿には、幾多の政変で無念の死を遂げたあまたの怨霊たちが彷徨っているといわれる。

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