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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第24章 第二部 【身代わりの王妃】 ひそやかな恋情

「もしや中殿、あなたか?」
 春花は少しはにかんだような笑顔でコクリと頷いた。またしても抱きしめたい衝動に駆られるも、〝意に添わない行為はしない〟という約束を思い出し、伸ばしかけた手を引っこめる。
「出過ぎたことと殿下のご不興を買うかとも考えたのですが、今度、お越しになるときに気持ちよくお過ごし頂ければと思いまして」
 一人でこっそりとやって来て、せっせと掃除をしたのだという。
「中殿、そなたという人は」
 ユンは泣き笑いの表情で幼い妻を見た。
 一人で宮殿を抜け出す大胆さと自分より相手を気遣ってしまう優しさ。負けん気が強い癖に涙もろくて、すぐに泣く。

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