身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~
怖くないといえば、嘘になる。でも、明姫は眼前のこの儚げな女人が既にこの世ならぬ人だと判っていても、禍々しいという印象は感じなかった。
―吾子よ。
女人は細い腕を伸ばし、同じ科白を囁きながら、すすり泣く。その両のかいなは、失った我が子を抱こうとしているのかもしれない。
「お妃さま(マーマ)、何をおっしゃりたいのですか?」
明姫は懸命に話しかけた。仮に亡霊と呼ばれるものが現世に姿を現すとすれば、それはまだ、この世に未練や執着があるせいだ。ならば、今ここで、亡くなったこの女の言い残したかったこと、伝えたかったことを聞いてあげれば。
―吾子よ。
女人は細い腕を伸ばし、同じ科白を囁きながら、すすり泣く。その両のかいなは、失った我が子を抱こうとしているのかもしれない。
「お妃さま(マーマ)、何をおっしゃりたいのですか?」
明姫は懸命に話しかけた。仮に亡霊と呼ばれるものが現世に姿を現すとすれば、それはまだ、この世に未練や執着があるせいだ。ならば、今ここで、亡くなったこの女の言い残したかったこと、伝えたかったことを聞いてあげれば。