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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 ユンは少し躊躇ったが、意を決して殿舎に向かって大股で歩いた。夫婦なのだから、少しくらい顔を見て話すくらいは構わないだろうと思ったのである。
 回廊に佇んでいた尚宮や女官たちは、突如として現れた国王を認めて騒然となった。
「騒がなくて良い。中殿の顔を見たら、すぐに大殿に戻る」
 やれ酒肴の支度だと色めき立つ尚宮たちを制し、彼は殿舎の階を上り、王妃の居間に入った。
「―殿下」
 春花は白い夜着姿で伽耶琴をつま弾いていた。夜着姿ということは、彼女もまた眠れなかったのだろうとユンは見当をつける。

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