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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 春花は少しはにかんだように笑った。
「これは本当は私が使おうと思ったのですが、私はまた同じものを買えば良いと思い直しました。ゆえに一本は町の家で、もう一本は宮殿でお使いになれば良いかと」
 ユンは胸が熱くなった。自分のために買った筆をこの少女はユンにくれるというのだ。
「そなたも書をよくするのであろう。これはやはり、そなたが使うべきだ」
「私はまた町に行きます。そのときに同じものを買えますから、これは殿下がお使い下さい」
 その言葉が少し引っかかった。

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