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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 明姫は首を振った。
「違うの。ユン、違うのよ」
「何が違うんだ?」
「私、見たの」
 明姫は震えながら訴える。
「女の人が今さっき、あそこにいたわ。白い衣装を着て、とても綺麗だけど淋しげな感じのひとだった。その人と私、少しだけ話をしたの」
 ユンが鋭く息を呑む音がしじまに響いた。
「そういえば、確かに外で人声を聞いたような気はしたな。だが、気のせいだろう。昼間の仕事がきつくて、疲れているのではないか? そのせいで幻覚を見たのかもしれない」
 明姫は烈しくかぶりを振った。

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