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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 隠れ家に行くには色町を抜けなければならない。以前は昼間で人通りは殆どなかったし、何より王と一緒だった。だが、今日はたった一人、しかもまだ堅気の人間なら眠っている時間帯である。華やかな灯りを点している妓楼が軒を連ねている色町の通りを、こうして歩いているというわけだった。
 やっと色町を抜け出ようとしたその時、小さな見世から二人連れが出てきた。酔漢らしく、二人ともに紅い顔をしている。両班の若さまらしいのは絹製の仕立ての良いパジチョゴリを見れば一目瞭然であった。春花と歳はさほど違わず、二十歳前後の若さだろう。

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