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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 放蕩息子らしく、二人ともに荒んだ退廃的な雰囲気がする若者たちだ。いやな連中と遭遇したと思いながら、彼女は外套をいっそう目深に被り直し、足早に彼らと行き過ぎようとした。
 が、突如として眼前に立ち塞がられ、弾かれたように顔を上げる。
「ねえ、こんな時間に君みたいなお嬢さんが何でこんなところにいるの?」
「いけない娘だねえ。どうせ、親に黙って内緒で屋敷を抜け出して遊んでるんだろ」
 二人が口々に好きなことを言っている。
 春花は取り合わず、無視して進もうとした。と、ふいに力任せに外套を引っ張られる。弾みで被っていた外套がはらとり宙に舞った。

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