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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

「礼なんか良いけどさ。あんたは女官なのに、何でこんなとこに一人でいるわけ?」
「―」
 春花が押し黙ると、光王は破顔した。
「マ、良いさ。誰でも他人に言いたくないこことの一つや二つはあるもんな。俺なんて、臑に持ってる傷は一つどころじゃないぜ」
 うつむく春花をしばらく見つめていた光王は静かな声音で言った。
「理由ありっていうのは判るけどさ、これから行く当てはあるのか?」
 春花は顔を上げ、頷いた。この男は良い人だ。彼女の中の何かが告げている。信用できるなら、話しても良いと思った。

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