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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

「り、両想い?」
 思わず声が上擦った。
「明姫は私に逢いたくなかった? 私はずっと、そなたの顔を見られない間、逢いたいと思っていたよ。考えるのは、そなたのことばかりだった」
 あまりにも直截な科白に、明姫の方が赤面してしまう。
「ユン、それって」
 明姫がおずおずと顔を上げると、愕くほど真剣な彼の顔があった。その熱を帯びた瞳を受け止められなくて、明姫は思わずうつむく。
「眼を逸らさないで。私を見てくれ」
 お願いだから。懇願するように言われ、明姫はまた彼を見上げる。

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