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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 そこで、明姫は漸く今の状況に思い至った。自分が今、この瞬間、ユンの逞しい腕に閉じ込められていること、互いの呼吸さえ聞こえるほど間近にいること。
「ご、ごめんなさい」
 慌てて身体を引き離そうとすると、彼女の背に回ったユンの手に力がこもった。
「離して」
「離さない」
 ユンはいっそう強く明姫を抱きしめた。
「ユン!」
 抗議するように呼ぶと、ユンが嘆息する。
「先刻、明姫の方から私の腕に飛び込んできてくれたときは、物凄く嬉しかったんだけどな。やっと両想いになれたんだと思って、歓んだのに」

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