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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

「腹が空いたら食いな。腹が減っちゃ、戦はできねえって昔から言うもんな」
 光王は〝じゃ〟と片手をひらひらと振り、眼前の小さな妓楼に入っていった。
 ここで色町は終わり、後は昼ならば露店が所狭しと立っている市の通りになる。今はちゃんとした店舗を構えた店は固く戸を閉ざし、露店はむろん出ていない。昼間の賑わいが嘘のように森閑と静まり返った道はまるで廃墟のようですらあった。
 春花は人通りもない道を歩くのが急に怖くなった。小走りに通りを抜け、見覚えのある四つ角を回り路地に入る。直に隠れ家が見え、やっと安堵の息を吐いた。

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