テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 隠れ家に入ったのは漢陽の空が茜色に染まり始める時間であったはずなのに、出てきたときは既に夜の帳に町並が沈んでいた。一体、どれほどの長い刻を春花を抱いて過ごしたのだろうか。
 ぐったりとした少女の裸体を自らの上衣で包み込み、ユンは抱き上げた。春花を抱いたまま隠れ家を出ると、気づいた黄内官が素早く寄ってくる。
「宮殿にお戻りになりますか?」
 黄内官とはもう長い付き合いになるが、すべてを心得た彼は隠れ家で何があったかを知っているはずなのに、何も言わず態度にも出さない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ