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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 が、流石にこの歳で家出した妻を王宮に連れ帰るのも待てずにここで抱いたと知られるのは恥ずかしかった。良い歳をして、あまりにも自制心がきかなさすぎると自分でも思っているからだ。
 黄内官が背後を振り向いて合図を送ると、下働きの男たちが輿を担いで現れる。次いで次々に随所に潜んでいた護衛の内官たちが集まってきた。
 黄内官が輿の正面扉を開け、ユンは春花を抱いたまま輿に乗り込む。その前に黄内官から手渡された大きな布で更に妻の身体を顔まで見えないようにすっぽりと包み込んだのは、春花の姿をできるだけ人眼に触れさせたくはないからだ。 

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