テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 しかし、心のどこかでかすかな希望も持っていた。もしや春花も素直に自分に抱かれ、身体だけでなく心もひらいてくれるのではないか、と。が、それは彼の手前勝手な考えにすぎなかったのだ。
 もう、遅すぎるのか。何をどうしても、自分たちは夫婦として解り合えることはないのか。
 どこかから地虫の啼く声がひそやかに聞こえてくる。何故か、それが無性に哀しみをかきたてるようだ。
 愛しい女をやっと手に入れたというのに、心は少しも浮き立たない。ユンの口から長い吐息が洩れ、彼もまた疲れたように眼を閉じた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ