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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第26章 第二部【身代わりの王妃】 哀しみの果て

 二人ともに王の後宮に入ったのは今の中殿よりも若いときであったが、どちらも心映え優れた女人であった。あのお方たちが生きておわせば、今回のような悲劇も起こらなかったとは思うが、人の運命だけは変えられない。
 新中殿は前中殿や和嬪に比べると、かなり幼い。年齢がということではなく、人間的にまだ成長してきれていない。身体は王を虜にするだけ成熟していても、心がまだ大人になっていないのだ。
 普通、王と褥をともにした後では、どれだけむずかっていても諦めるものだが、中殿はまだ実家に帰りたいなどと泣いている。長らく後宮に仕え、様々な人間関係や人の浮き沈みを見てきた金尚宮に言わせれば、〝甘い〟のひと言に尽きる。

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