テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第26章 第二部【身代わりの王妃】 哀しみの果て

 ふいに誰かに強く手を握り返され、春花は眼を開いた。ゆっくりと意識が覚醒してくる中で、ぼんやりとしていた視界も次第に鮮明な輪郭を結ぶようになってくる。
「―殿下」
 春花の眼に最初に映ったのは、気遣わしげな顔で自分を覗き込む王の姿であった。
「中殿、気がついたか」
 王は泣いていた。精悍な顔に今、涙が流れ落ちていくのがはっきりと見えた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ