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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第26章 第二部【身代わりの王妃】 哀しみの果て

 春花が自ら左手首を掻ききったと知らされた時、ユンは信じられない想いだった。嫌われているとは知っていたが、まさか、抱いたことで自害するとまでは考えていなかった。
 大殿で執務中に報告を受けた彼は急ぎ中宮殿に駆けつけた。そこで彼を待ち受けていたのは、蒼白な顔で横たわる妻であった。
 傷は思いの外深く、出血も酷かったため、助かる見込みは五分五分だと医官から言われ、絶句した。
 その日の朝、春花の許を訪れた時、彼女は布団を被ってユンとの対面を拒んだ。ユンは去り際、わざと聞こえるように
―今宵は中殿の許で過ごす。
 と宣言したのである。

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