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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 ユンには自分との恋愛などよりも他に、なすべき大切なことがある。立派な学者となり、その学識を朝鮮の発展のために役立てて欲しい。それがユンを心から愛する明姫の願いだ。
「ならば、明姫は私の想いは受け容れられないと?」
 ユンの声が一段低くなった。
 ふいに涙が溢れそうになり、明姫はうつむいた。
「私はユンに立派な学者になって欲しい」
「明姫は国王に遠慮して、身を退くのか? 顔も見たことのない男に操を立てて一生涯、誰にも嫁がず、宮殿で生涯を終えるというんだな」
「仕方のないことなの! 私たち女官は宮殿に入ったそのときから、そういう風に運命づけられているんだから」

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