テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

 両班の息女だから、それなりの教養を身につけているが、これから更に磨きをかけるため、大妃自らが教育指南役として指導に当たるのである。
 そこまで大妃が熱心なのも、やはり兄である領議政に頼まれてのものだろう。現に、今ひとりの兵曹判書の娘に対しては、そのような気遣いは見せてはいない。
「国王殿下のお妃になるっていうのも、楽じゃないわよねぇ」
 明姫は肩を竦め、いささか持ち重りのしすぎる感のある書物を〝よいしょ〟と抱え直す。
「これだけの内容を頭に詰め込むなんて、私なんか到底、駄目。考えただけで、身体中がかゆくなりそうだわ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ