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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

「ユン、お願いだから」
 一旦は押し戻した涙がまた溢れそうになっている。覆い被さってきた彼は怖いくらい迫力があった。
 ユンの身体を懸命に押しやろうとしても、やはり少女の力では大の男に敵うはずもない。
「好きだ、好きなんだ。判ってくれ」
 うわごとのように繰り返すユンの吐息は異様に熱かった。
 顔が近づき、唇を塞がれる。
「ん、んぅっ」
 全力で顔を背けようとしても、両手で顔を固定されているため、身動きもできないのだ。角度を変えた口づけは永遠に続くかと思われた。明姫は息苦しさにもがいた。

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