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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

「く、苦し」
 呼吸ができない。明姫はあまりの苦悶にわずかに口を開く。刹那、待っていたかのように、ユンの舌が入り込んできた。
 なに、何なの? 明姫はひたすら怯えた。
 十五歳で、それでなくても女官仲間からは〝奥手の明姫〟とからかわれている彼女は男女の間のことは何も知らない。
 朋輩たちがその手の話で盛り上がっていても、話には加わっていても聞き役ばかりなのだ。
 怯えて逃げ惑う舌を追いかけ、ユンの舌に絡め取られる。絡めた舌を強く吸い上げられ、明姫は驚愕した。
 抵抗がいっそう烈しくなる。明姫は小さな手で懸命にユンの身体を押した。ありったけの力を込めて突き飛ばしたため、一瞬、男の身体が揺らいだ。

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