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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 ユンは明姫の脹ら脛に丹念に薬を塗ってゆく。明姫も抵抗する気力も体力もなく、あまりの痛みに今はただユンに身を預けていた。
 両脚の脹ら脛に薬を塗り終えた後、ユンは懐から清潔な布を出し、その上から巻いてくれた。
 しばらく二人はそのまま何も言わずに向かい合って座っていた。    
「その―、ごめん。何て謝って良いか判らないけど、とにかく、ごめん」
 そのときには既に明姫も泣き止んでいた。明姫は言葉を発する気力もなく、ただ彼の謝罪に耳を傾けていた。
「国王が相手なら、そなたは意に従って身を任せると言った。あの言葉を聞いただけで、カッとなってしまった。私を好きだと言いながら、何故、私は駄目で見も知らぬ王であれば良いのかと」

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