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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

「私、そんなこと言ってない」
 明姫はポツリと呟いた。
「ユンは将来のある身でしょう。だから、あなたのためを思うなら、私から身を退く方が良いと考えたの」
「それで、あんな言い方を?」
「そう」
 明姫は頷いた。両脚を引き寄せ、膝を抱えてその間に顎を乗せる。脚を動かす度に、チマの裾から傷に巻いた白い布が見えた。先ほど、あんなに手荒く彼女を扱ったのが嘘のように、丁寧に手当してくれた。まるで壊れ物を扱うような仕種だった。
「もう、これですべて終わりだな。愚かな私自身の行いが自分を窮地に追い込んだのだから、致し方ない」

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