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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 ユンは淋しげに笑った。
「自分は今まで、もう少しは自制心があると思っていた。信じては貰えないかもしれないが、これまで女人に対して、こんな酷いやり方で迫ったことはない。自分がこんなに堪え性のない男だとは思わなかった。自分で自分が恥ずかしいよ」
 これで、完全にそなたに嫌われてしまった。
 最後の言葉はよくよく注意していないと、聞き逃してしまいそうなほど低かった。
「そうだったら良いんだけど」
 明姫は吐息混じりに言った。
 え、と、ユンが面を上げる。
「いっそのこと、あなたを嫌いになれたら良かったのに」
 明姫は小さくかぶりを振った。

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